牧岡奈美 シマウタ・デ・ピアノ VOL.1
2008年9月27日に下北沢「ぐ」で行なわれた牧岡奈美さんのライブをみた。このライブは五つの赤い風船というグループのメンバーであるピアニストの竹田裕美子さんとの二人だけ、つまりピアノの伴奏だけでシマウタを唄おうというものだ。
ライブはやはり「あさばな」から幕を開け、全部で12曲がピアノだけの伴奏で披露された。中には今回のライブで初めて聴く曲もあり、とても新鮮だった。最後は牧岡さんの自作の歌と、その後三味線で一切朝花と六調でお開きとなったが、お客さんは島関係の人が3~4割位で、あとはたぶん本土の人たちだったと思う。あまり広い会場ではないが、満員となった。ある意味で前衛とも言えるこういった試みが理解されたのは幸せなことだ。
聴いていて改めて思うが、シマウタにはピアノがよく合う。伝統的な三味線によるシマウタとは違った新たな音楽の世界が出現していると思う。もちろん三味線によるシマウタのように時代を経た蓄積があるわけではないので、まだ始まったばかりの心もとない音の世界でしかないが(だから私はそれを「奄美音楽」という言葉で呼んで区別しているのです)、それでも私たちを奄美を感じさせるなにものかを含む世界へと連れて行ってくれるのに十分だ。
ピアノとシマウタは朝崎郁恵さんと高橋全さん、RIKKIさんと黒田亜樹さんなど、これまでにも素晴らしい組み合わせが生れているが、また一つ楽しみなユニットが誕生したようだ。特に牧岡さんは自身も3歳頃からピアノをやっているそうで、私はピアノという楽器への限りないリスペクトから生まれる新たな奄美音楽の展開に心から期待している。
竹田さんは「私がどこまでシマウタに触れていいのか迷った」と言っていたが、それはきっと三味線によるシマウタの奥深さを感じているからこその発言だと思う。ギターでも何でもいいのだが、三味線以外の楽器でシマウタを唄おうとする時、この懊悩からこそ本当の飛躍が生まれるのだ。(続く)
(写真はあさばな)


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